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よろず屋の猫

T・ジェファーソン・パーカー 一挙読み

T・ジェファーソン・パーカー著の6冊を読んだので、簡単な感想です。
情感豊か、人間ドラマの名手、心にしみいるストーリー等の形容詞がつく作家さんです。

ブルー・アワー 原題『Blue Hour』
女刑事マーシのシリーズ一作目。
猟奇殺人を追う、癌をわずらう老刑事へスとマーシ。

ブラック・ウォーター 原題『Black Water』
マーシのシリーズ三作目。
妻殺しの疑いを掛けられた同僚保安官補の疑いを晴らすために、マーシーががんばる。

ラグナ・ヒート 原題『Laguna Heat』
処女作。
謝って黒人少年を射殺した過去を持つトムが、故郷ラグナで連続殺人事件の捜査にあたる。

カリフォルニア・ガール 原題『California girl』
1960年代、カリフォルニアを舞台に、殺された若い女性の事件を、子供の頃から彼女の知り合いだったニックが捜査する。
アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作。

コールド・ロード 原題『Cold Pursuit』
サンディエゴ市の実力者ピート・ブラガが殺される。捜査担当はブラガ家と三世代に渡って確執があるマクマイケル家の三代目トムだった。

パシフィック・ビート 原題『Pacific Beat』
ニューポートビーチを舞台に姉の死の真相を探る、元刑事ジム。

ブルー・アワー
マーシと言うよりヘスの話。
ヘスが生きてきた証をいろんな意味でマーシが受け継いでいくわけだ。

ブラック・ウォーター
『レッド・ライト』を挟んで三作目。
前作で同僚を疑ってしまったマーシが、今度は二度と自分の同僚を陥れる真似はさせまいとがんばる。
自らも撃たれて頭に弾丸の破片が残っているために、記憶を失い幻覚・幻想の世界にいる保安官補アーチーのシーンが印象的。

シリーズ三作を読みましたが、私は二作目の『レッド・ライト』が一番面白いと思いました。

ラグナ・ヒート 
処女作なだけあって、きちんとミステリーしている作品。
現在の事件が34年前のトムの母の殺人に絡んでいる。
なので過去を暴いて行くと言う、ミステリーにはよくあるパターンだけど、私はこう言うのは好きです。

カリフォルニア・ガール 
推理小説と言うより、1960年代を生きた兄弟の話。
アメリカにとってこの時代と言うのは特別なんだなとつくづく思う。
「あの頃の話」として読むには良いけど、ミステリーとして読むにはまどろっこしいシーンもあって、物足りないかも。

コールド・ロード 
両家の三世代目が昔は恋人同士で、殺人によって再会する。
一方でピートの看護士の女性と恋に落ち、立場上非常にまずい状況におかれるトム。
ややこしい恋が好きな人だ(笑。
でもその看護師が魅力的です。
私はこの作品が好きです。

パシフィック・ビート 
姉を殺した犯人に対して「何故だ。」と主人公が問いかけるが、私は気持ち的には分るぞ、殺人が仕方ないとまでは言わないけど。
そんなこんなで「素敵な姉さん」を描写されても、魅力的とは思いませんでした。むしろ犯人に同情してしまったくらいで。

以上の6冊で、個人的に面白いと思ったのは、『ラグナ・ヒート』『コールド・ロード』です。
人間ドラマを描いたミステリーがお好きなら(私は大好き)、どれを読んでも期待を裏切られることはないと思います。

余談ですが、さすがにこれだけ彼の作品を続けて読むと、次は元気の良い主人公の話が読みたくなりました(笑。



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